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地代家賃統制令に関する質問主意書
衆議院 第71回 第8号
質問本文
衆議院議長 中村梅吉 殿
地代家賃統制令に関する質問主意書
一 建設省は、地代家賃統制令(昭和二十一年勅令第四四三号)第五条に基づく昭和二十七年十二月四日建設省告示第一四一八号を昭和四十六年十二月二十八日同省告示第二一六一号によつて一部改正し、同四十七年一月一日からこれを適用し、現在引き続き効力を保持している。
二 右告示によると統制額地代及び家賃の算定方法(いずれも一ヵ月)は次のとおりである。
地代については、
(その年度の固定資産税の課税標準額×
50
+その年度の固定資産税)×
1
+その年
1000
12
度の都市計画税額×
1
=
1ヵ月の地代
12
純家賃については、
その年度の評価額×
18.24
+その年度の都市計画税額×
1
=
1ヵ月の純家賃
1000
12
家賃については、
地代相当額+純家賃
の各方法で計算される仕組みとなつている。この計算にしたがうと、現在のように毎年評価額が時価に近づけられ、また、課税標準額も毎年四割近い上昇率で上つてゆくなかで一坪(三・三m2)当たり一、〇〇〇円以上の地代が出現し、到底一般市民が借地上に居住することは不可能となる。
統制令の適用は制限されているが、これによる算出例が適用除外対象物の地代・家賃の算出基準となることはあきらかで、現に裁判等右計算例に基づく請求がいくつか出されてきている。そして、右計算の基礎となつている「当該年度の固定資産税標準額」は、改正前と異なり前述のように毎年増額されているので、物価上昇に拍車をかけ、この統制令にしたがつて増額されるにおいては、借地借家人の生存をおびやかすに至ることは必定である。
三 いうまでもなく、地代家賃統制令は、昭和十四年に国家総動員法による勅令として、戦時の物価の高騰、人口の都市集中化による地代家賃の暴騰を防止する目的で制定され、昭和十五年の第二次統制令の実施ののち、昭和二十一年に現行統制令が施行されたものである。昭和二十七年の平和条約の発効に伴い勅令の措置を規定した法律の廃止に伴い、廃止されるべきところ、なお地代家賃の統制の必要を認め、以後法律として取り扱われるようになつた。
統制令の立法趣旨は、地代家賃の統制により、一般物価の高騰を防止し、国民生活の安定をはかるという意味にとどまらず、憲法第二十五条の生存権の保障にみられる福祉国家への指向に則し、特に大都市の住宅難より生ずる高額賃料の重荷から賃料規制による国民の住宅確保を目的としたものである。したがつて、統制令によつて定められた統制額が右趣旨にそうものでなければならないことは当然のことであろう。(同令第一条)
ところがさきにみたように、右告示による改正は統制令の実質的撤廃に等しく、憲法第二十五条の趣旨に反し、統制令第一条に違反するものというべきであり、建設大臣には、かような内容の告示をなす権限は存在しないというべきである。そこで、これに関し次の質問をしたいので、明確かつ詳細な回答を承りたい。
1 今回の告示第二一六一号を出すに際し、昭和四十七年度ないし昭和四十八年度まで予定されている課税標準額により市街地の地代・家賃額の試算をされたか。その結果と実際の地代家賃との比較をされたか。
2 改正については、地主、借地・借家人側の意見を聴取したか。もし意見聴取をしたとすれば、どのような形で誰から聞いたか。聞かないとすれば、なぜこのような重要な案件について事情聴取をしなかつたのか。
3 改正は、前述のような立法趣旨からみて、建設大臣の越権行為といえると考えるがどうか。
越権でないとしたらその理由を詳細に知らされたい。
4 いくつかの実例を検討した上、右告示を更に改正する意図はないか。
右質問する。
政府答弁書
1について
昭和四十六年の告示改正は、統制額が、長年据え置かれた結果、租税、地代又は必要経費をまかなうに足りず、公正でないと認められるに至つたため、行なつたものである。
すなわち、昭和四十五年十一月一日現在で建設省の行なつた昭和四十五年度地代家賃実態調査によれば、六大都市における統制家賃の平均は、統制対象外家賃の十六分の一以下である三・三平方メートルあたり約百二十円で、その金額から公租公課を差し引いた額は約六十円にすぎず、また、統制地代の平均は、統制対象外地代の三分の一以下である三・三平方メートルあたり約四十円で、その金額から公租公課を差し引いた額は約十円にすぎず、これらの額では必要経費をまかなうことは到底できない状況であつた。
同改正にあたつては、大都市の平均的な宅地の昭和四十六年度における固定資産評価額及び固定資産税課税標準額を三・三平方メートルあたり六万千二百円及び一万八千九百円、昭和四十八年度の土地の評価替えによる評価額の増加率を一・七倍、各年度の課税標準額の増加率を一・三倍と見込んで、改正後の統制対象の地代・家賃の額の試算を行なつた。同試算によれば、三・三平方メートルあたり昭和四十六年度における地代百十一円、家賃三百三十八円、昭和四十七年度における地代百四十一円、家賃三百八十三円、昭和四十八年度における地代百八十八円、家賃四百五十三円である。以上の結果、昭和四十六年度の改正後の統制額は、家賃において統制対象外家賃の約二十パーセント、地代においては、統制対象外地代の約八十パーセントに留まるものと見込まれた。
2について
告示改正は、建設大臣が、地代・家賃の実態、統制令の実施状況等を調査検討し、改正の影響、当事者の利害をも考慮して原案を作成し、経済企画庁長官と協議のうえ、物価対策閣僚協議会の議を経て決定したものである。
地主、家主、借地人、借家人等の当事者の意見の聴取はとくに行なつてはいないが、関係当事者等から提出された意見は十分参考とした。
3について
地代家賃統制令においては、地代又は家賃の統制額が、物価の高騰等経済上の変動に伴い維持管理費用等が増大し、公正を欠くに至つた場合、統制額を改めることができることとし、その権限を建設大臣に委任している。
前述のように、昭和四十六年の告示改正は、統制額が公正でないと認められるに至つたため行なつたものであり、その統制額も、賃料の急激な上昇と借主の過重な負担を避けるよう配慮して決定されたものである。従つて、改正後の統制額は公正であり、告示改正が地代家賃統制令の趣旨に反した越権行為であるとはいえない。
4について
地代及び家賃の統制額を定める告示は、統制額が公正でないと認められるに至つた場合に改正されるべきものであり、現時点で直ちに告示を改正する意図はないが、今後ともよく実態の調査を続けてまいりたい。
右答弁する。
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