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一般乗用旅客自動車運送事業に関する質問主意書
衆議院 第13回 第22号お答えすることは困難 ×1
質問本文
衆議院議長 林 讓治 殿
一般乘用旅客自動車運送事業に関する質問主意書
昭和二十二年道路運送法施行により、現在首都東京都における一般乘用旅客自動車(十人乘以下)運送事業者の数は二百三十数社を算し、その合計車両台数は六千八百台のほぼ都下交通需要量のマキシマムに至ろうとするやに考えられるときにあたり、最近一部大企業者の企業拡大及び増車台数制限の意図により中小企業体経営組織を分裂せしめる等の実力行使手段により右の目的を遂行する業者が発生し、ために公共事業たるハイヤー、タクシーの免許目的が無意味となり未曾有の混乱状態にあるやにそく聞するが、道路運送法の運用の実体に関し左の事項につき政府の詳細なる回答を願いたい。
一 明昭和二十八年三月三十一日現在の東京都下における交通需要量を過去三箇年間の需要増加要求量の率を基準として推定量を正比例に想定するときは、ハイヤー、タクシーの供給量の妥当なる台数は最高幾千台と思考するや。
二 右の予定最高台数の供給量に到達させる方法として、既免許事業者にその供給量を求むるを可とするや、あるいは新規免許予定者の導入にそれを求むるや、又は両者にそれを求むるとする意思ある場合においては、前両者に対してはその比率はどうか、更に既免許業者間における増車の比率はその保有台数に対し正比例に求むるや、又、逓減的に求むべきやどうか。
三 最近の事業者の経営内容は、実質的には全事業者の約六〇%はその働きの分量において利益分配がなされるとする企業組合的か、又は相互株式会社的に経営者及び株主(車両主と称するかに聞く。)との間に利益の分配を行い、約二五%は経営代表者個人と他の株主との間に相互会社的に利益を分配し、約一〇%は会社経営とは表面形態のみであつて、実態は一個人によつて経営せられ、他の五%は戰時統合の惰性によつてやや一般産業に見る株式会社法による経営を営むやに聞くが、政府は中小企業を基幹とせざるべからざるわが国産業の実体並びに該事業の有する公共性の要求度にかんがみ、いかなる経営形態が該企業の健全性及び永続性を最高度に発揚せしめ、もつて公共の利便のためにサービスせしめる形態なりと考えるか、更に将来において理想形態として一單位の経営体の保有すべき車両の最少限度台数は何台か。
過去及び将来にわたりここ一、二年は社会的内容において急激なる変化はなかつたし、又あり得ないものと考えられ、従つて昭和二十五年五月二日石野久男議員に対する回答のごとく免許、基準台数なるものがなく、その都度免許台数が変化するものであるとするような無計画性を立証するような回答は許されないと信ずる。
四 道路運送法第六條第一項第二、第三及び第四号と関係せしめて同法第三十六條を民主的立憲資本主義国家の條件下において同法を解釈するときは、過去数十年間に及んで該事業の経験を有する者の集合によつて形成せられたる相互株式会社的経営体が全経営体の過半数を占める現況にかんがみ、それらを名義貸行為と認定する以前に該企業者をして企業組合、相互株式会社、株式会社、及び個人等の各種経営形態に再編し、弱小なるものについては事業協同組合の結成を奨励する等その内容を堅実化するとともに大企業化の方向に移行せしむるべきと考えるが、政府の見解はどうか。又、名義貸とは何か。数種の経営内容を挙げ説明せられ、並びに名義貸の不可とする反社会的理由を説明せられたい。
五 先般商法改正に伴い株式の裏書讓渡制限の撤廃が行われ、株式の有価証券性が強く主張されるに至つた結果、当該事業の株式が一般公開せられ、その株式は何人の手にも自由に入る結果となり、ある特定人がある特定事業者の経営権の獲得を意図するときは安易に現在の経営陣を変化せしめうる結果となり、しかるときは当初免許基準において要求せられたる経営手腕の有無を判定せる人的構成の要素は全く無意味となると考えられるが、その点はどうか。
六 将来資材及び燃料が統制廃止せられたりと仮定するときにおいて、該事業の免許制とせねばならぬ主たる要因は何か。
七 過去、現在にわたり該事業の公共性にかんがみ政府は、該事業の免許制を採用しきたつたと考えるが、政府は、この事業に対し外車配分、燃料配給、融資順位の決定等に関し他の非公共性産業に比しなんらの優位をも與えなかつたと考えるが、将来の対策はどうか。特にこれらの事業者の現在有する車両の平均年令は、十五年平均程度の老朽車をもつて運行せられある現況にかんがみ、早急なる車両入換えの要あると考えられるが、これらに対し講和後において外車導入に際しいかなる購入機関の経路によつていかなる代金決済の方法によつて導入されるか、又、これら引取りに関し銀行融資等のあつ旋がなされるかどうか。具体的方法はどうか。
右質問する。
政府答弁書
一 昭和二十四年以来の需要量は急激に増しており、これに応じて供給力も相当増強されている。しかしながら、これらは燃料、資材面の好転、その他種々の情況によるものであつて、その増加率は異常なものと考えられる。よつてこれのみを基礎として正常な経済状態の下における将来の妥当な最高台数を算出することは困難である。
二 需要量に対し供給力が不足すると認められる場合、既免許業者の増車申請と新規免許の出願とのいずれに重点をおくべきかの問題については、既免許業者の責務完遂を期待しているが、誠実な新規業者における適切な供給量の増加を拒むものではない。要は事案内容とその時機における需要供給の総合的判断により検討されるべきものである。既免許業者間における増車比率についても同様と考える。
三 道路運送事業の免許に当つては、道路運送法第六條各号の規定するごとく、需給の均衡、資力信用の有無等の基準に基いて行われるのであつて、要は事業の公共性にかんがみ、充足すべき供給量に対し申請事案を総合的に判断しなければならない。
従つて、あらかじめこの企業形態、免許台数基準を予想するようなことは考えていない。
但し、大都市においては、企業団体の使用が特に高度に要求せられるので、相当な企業経営規模が必要と考えられる。
四 自動車運送事業者は、その企業経営について、組織ある統制の下におき、完全に責任を負うべきである。しかるに、その名義を他人に、自動車運送事業のために利用させる、いわゆる名義貸にあつては、事業者は名義借人に運営をゆだねるために、完全なる責任を負い得ず、その結果は免許制の本旨に反する。道路運送法第三十六條第一項において名義貸が禁止せられるゆえんである。
名義貸行為の消滅については、その車両を健全なる企業体に吸收、又は総合せられることがのぞましい。
五 免許申請の場合において事業遂行能力については、人的構成要素をも加味して免許後の運営状況の予測をなすのであるが、営業開始後は、その運営実績をもつて公衆の利便が確保されておるかどうかが判定され、その結果によつては事業計画確保命令、事業改善命令の適当な措置をとることが考えられ、事業の充分な監督はなし得られるものである。従つて当初に人的構成要素を考慮することと、免許後の人的要素の移動に対して法規制のないこととはおのずからその性質を異にするものである。
六 自動車運送事業は、国民経済上、国民生活必要不可欠の輸送力を提供するものであつて、高度の公共性を有する事業であるから、これを自由な運営にまかせることなく、免許制度をとつたのであつて、燃料資材等の統制によるものでないから、これらの統制廃止によつてなんら影響されるものではない。
七 本事業の公共性にかんがみ、政府は、過去、現在にわたり、外車配分、燃料配給及び融資の援助については、他の非公共性事業に対するより以上の優位を與えることに努力しており、将来においても同様である。
外車の導入に関しては、その必要性を痛感しており、これを積極的に推進する方針であるが、特に、その他の場合の輸入経路以外の特別の制度は、考慮していない。外車の引取に関する融資に関しては、今後更に努力したい。
右答弁する。
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