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健康食品に関する質問主意書
衆議院 第168回 第252号
質問本文
一 健康食品を包括的に取り扱う法制度がないことについて
健康食品を包括的に取り扱う法律や制度は、米国、EU、韓国、中国などでは既に施行され運用されており、またASEAN諸国(一〇カ国程度)でも、健康食品に関する法制度の整備を二〇一〇年に施行するべく進めている。このように諸外国では、国際的に協調しながら、健康食品を定義付けし、有効性表示と安全性を確保し、消費者のニーズに応えるためにも、健康食品に関する法整備を行うことが国際常識ともなりつつある。しかし、数兆円ともいわれている健康食品市場が現存している日本には未だそのような制度は存在していない。
健康食品は「いわゆる健康食品」として一般食品に位置づけられており、薬事法、食品衛生法、健康増進法、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)、景品表示法などいくつかの法制度の下で複雑に規制されている。これらの規制によって健康食品は一般食品として扱われており、有用性に関する表示や具体的な用法用量に関する表示は禁止されているため、消費者にとって分かりにくい表示になっているのが現状である。健康食品に関して、消費者に提供できる情報が制限されているため、消費者は限られた情報をもとに製品を購入し摂取せざるを得ず、また結果として消費者の誤用などを招く恐れもある。
健康食品には、健康の維持・増進のみならず疾病の予防にも有用なものがあり、これらを国民の健康に役立たせ、また予防医学の観点からも、一般食品と切り離して独自の法制度を策定し、健康の維持増進効果や疾病リスク低減効果、用法用量に関する情報を提供できる法制度なりシステムを構築すべきと考えるが、以上のような問題意識を踏まえ、厚生労働省はいわゆる健康食品に対してどのように考えるのか。
二 新規食品素材のルールが存在しない理由について
食品添加物には、既存の厳密な認可制度・ルールがあるが、日本には、米国・EUにあるような新規の食品素材に関する法制度やルールが無く、輸入・販売する際には、使用目的が限定される食品添加物として申請するような指導がなされている現実があると聞く。しかし一方では、特定保健用食品としての範囲でその食品素材としての使用が認められているという矛盾がある。新規の食品素材について、明確な基準・ルールや申請・認可のシステムがないため、欧米で素材として認められているものも、現状では、一部の特定保健用食品枠を除きそれを認可して輸入・販売することはできない。
また、使用認可を申請した場合には、本来の食品素材の目的性とは異なり、便宜的に食品添加物扱いとしてのみ認められる場合がある。
つまり、新規食品素材についての制度がないということは、諸外国と通商する上での整合性がとれないばかりか、事業者の機会均等の観点、さらには消費者の食に対する安全性の観点からその合理性に問題があると考えるが、厚生労働省としては新規食品素材の認可についていかに考え、今後どのように改善していくのか。
三 食薬区分に載っていない食品素材の照会手続きが煩雑であることについて
日本で一般的に流通していない食品素材の場合、海外では既に食品として流通しているものであっても、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に載っていない素材は、厚生労働省に医薬品に該当しないか否かを照会しなければならない。照会に際しての資料添付等で、企業に多大な負担であるのと同時に、さらには厚生労働省の審査にも時間が掛かるため、食品素材を迅速に導入することが出来ない現状にある。
また、食薬区分で「医薬品と判断しない」とされている素材でも、水・エタノール以外の溶媒で抽出したものに関しては、改めて厚生労働省に医薬品に該当しないか否かを照会しなければならない。素材によっては、水・エタノール以外の有機溶媒で抽出した方が、夾雑物が除去されて、良質のものが得られるにもかかわらず、前記の照会に費用と時間がかかるため、直ちに使用できない現状がある。
これらの実態は、諸外国からは一種の非関税障壁として捉えられかねない。食薬区分に載っていない原材料でも、食品として海外で十分な流通実績や食経験のある素材を効率的に認証するシステムを確立し、日本でも使用出来るようにするべきと考えるが、厚生労働省はどう考え、また手続きを改善する意思があるのか。もし、ないとすれば、国際的な共同歩調の観点で合理性のある理由を聞きたい。
四 一部、特定保健用食品の範囲でのみ新規食品素材が認められている理由について
油脂食品等に使用する場合にその溶解性や安定性を高めるためのエステル化された種子油由来の植物ステロールおよび針葉樹から生成されるトール油から抽出される植物ステロール、植物スタノール、またはそれらのエステル化されたものは、新規食品素材として、特定保健用食品の関与成分として一部使用が許可されている。しかし、現在、これら新規食品素材が一般食品素材として使用が可能なのかどうか、これまで厚生労働省の公式見解が出ていない。このことについて、何故公式見解が出されていないのか。
(参考:ここでいうこれらの食品素材は、米国、EUにおいては、すでに食材としての安全性が認められており、体内のコレステロールを低減させる働きがあるとの表示が認められ、食品素材として現在各市場で広く流通している。)
五 栄養素の食品添加物扱いの不合理性について
欧米では一般的に栄養素であるビタミン類は食品扱いとなっているが、日本では食品添加物扱いとなっている。これは何故か。国際標準の観点から、食品添加物扱いとするには、その合理性に疑問を感じるが、厚生労働省としてどう考えるのか。
右質問する。
政府答弁書
一について
健康増進法(平成十四年法律第百三号)上、一定の健康の維持増進についての有効性及び安全性を有する食品については、特定保健用食品として厚生労働大臣の許可を受けた上で、疾病リスクの低減が期待できる旨の表示等健康の維持増進に役立つ旨の表示を行うことが可能であるとともに、当該表示を行うに当たっては、摂取目安量、摂取方法及び摂取をする上での注意事項等の記載が義務付けられているところであり、厚生労働省としては、同法の適切な運用により、国民が適切に健康食品を選択できるよう努めてまいりたい。
二について
食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)上、事業者が食品の輸入及び販売等を行うに当たっては、その原材料等の使用に関する個別の申請及びそれに対する国の許可等は原則として必要とされておらず、厚生労働省としては、御指摘のような事実はないものと承知している。
三について
厚生労働省としては、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和四十六年六月一日付け薬発第四百七十六号厚生省薬務局長通知)において「医薬品の範囲に関する基準」、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」及び「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(以下「判断基準」という。)を示し、事業者が製造販売をしようとする製品について薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品に該当するか否かを自ら判断できるようにしているところであり、多くの場合、判断基準によりその判断が可能であると考えている。御指摘の手続は、判断基準からは判断が困難な場合に厚生労働省に対してその判断を求める場合のものであるが、当該手続においては、事業者より提出された資料を基に、当該製品の薬理作用や毒性等について学識経験者の意見を求めるなど慎重に検討する必要があり、その結論を得るまでにある程度の時間を要することはやむを得ないものと考えている。
四について
厚生労働省としては、御指摘の植物ステロール等について、これを食品として製造販売等を行うことが可能かどうかについては、食品衛生法に基づき個別に判断するものであるため、これについての一般的な見解を特段示していないものである。
五について
食品の栄養価の保持・増進のために添加されるビタミン類(以下「添加ビタミン類」という。)については、FAO(国連食糧農業機関)/WHO(世界保健機関)合同食品規格委員会においても基準が定められておらず、基本的には、各国の判断で、必要な規制が行われているものと承知している。
我が国においては、添加ビタミン類については、食品衛生法上、「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によつて使用する物」と定義される「添加物」に該当するものとして、その製造販売等について規制が行われているものである。
なお、欧米においても、添加ビタミン類を食品に分類しつつ、一定の規制を行っている国があるものと承知している。
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