判定エンジン束ね売り(単一データでは結論が出せない)
安全や法令の結論が単一データでは出せないとき、必要な判定エンジンを1キットに束ねて販売する製品設計。
定義
ユーザーが知りたいのは「その土地は安全か」「この説明は足りているか」といった結論であるのに、その結論を出すには複数の独立したデータと規則が要る——という状況で、必要な判定エンジンを個別バラ売りせず1つのキットにまとめて提供する製品設計。kurage-products のハザード系・法令系製品で繰り返し現れる。
単なるセット割引ではなく、単一エンジンでは誤った結論を返してしまうという構造的な理由によって束ねられている点が本質。
なぜ束ねるのか(防災の例)
kurage-disaster-judgment-set の説明が論拠を明示している。内閣府「避難情報に関するガイドライン」(令和8年3月改定)では、
- 自宅に留まる屋内安全確保を選べるのは洪水・高潮に限られ、
- しかも「家屋倒壊等氾濫想定区域に存していない」「浸水しない居室がある」「一定期間の浸水による支障を許容できる」の3条件を満たす場合だけ。
- 土砂災害と津波は立退き避難が基本。
つまり洪水のハザードデータだけを持っていても、利用者の行動は出しきれない。土砂・津波の判定が無い状態で「浸水深1mなので上階へ」と答えると、土砂災害警戒区域の住民に危険な指示を出すことになる。だから洪水・内水・高潮/土砂災害/津波/指定緊急避難場所の4エンジンを揃えて1キットにする。
束ね方の実例
| キット | 価格(税込) | 構成エンジン |
|---|---|---|
| kurage-disaster-judgment-set | 165,000円 | 洪水・内水・高潮/土砂災害/津波/指定緊急避難場所(4本) |
| kbousai(防災AIチャット+防災判定セット) | 220,000円 | 上記4本+AIチャット |
| kurage-juyo-saigai-check(重説 災害項目チェック) | 220,000円 | 洪水・土砂・津波・盛土・災害危険区域(5本)+宅地造成等工事規制区域等 |
個別製品は各55,000円で並んでいるため、4本を単品で揃えると220,000円。セットは165,000円で、束ねること自体に価格上の意味も持たせている(social-impact-pricing)。
束ねを強制する3つの非対称性
- データの有無が災害・項目ごとに違う — 重説の第三号「津波災害警戒区域」は国土数値情報に存在せず、都道府県が個別に指定・公表している。愛知県分はマップあいちから取り込む手順を同梱して初めて判定できる(open-data-license-compliance)。
- 整備主体・更新頻度が違う — 国の全国データ、都道府県のGIS、市町村の条例・FAQが混在する。名古屋市の造成宅地防災区域のように「指定されているところはありません」という公式FAQの引用でしか確定できない項目もある。
- 法的な問いと物理的な問いが混ざる — 盛土規制区域は「そこで工事をするには許可が要る」という法の線、大規模盛土造成地マップは「そこに盛土がある」という土地の成り立ち。kurage-morido-map は両方を同じ住所で返すことで混同を防ぐ。
設計上の帰結
- 結論は決定論的規則が持ち、AIは言い換えるだけ — deterministic-core。AIが止まっていても規則の答えとカードは出る。
- 「区域外」「未収録」「判定対象外」を必ず分ける — unknown-vs-outside-distinction。束ねる項目が増えるほど、どこか1つでも「データが無い」状態が混入するため、この区別がキット全体の品質条件になる。
- 避難先も束ねの一部 — kurage-refuge-map は「近い避難所」を返さず、災害種別で絞る。洪水対応の避難所を土砂災害警戒区域の人に勧めないために、判定エンジンと避難先選択が同じキットに入っている必要がある。
- 取得できなかった情報は「取得できない」と明示 — 川の水位は国交省「川の防災情報」の収集自粛要請に従い取り込まずリンク案内にする、といった欠測の扱いも含めて1つの商品になる。
- 外部有料APIを使わない — 4〜5本のエンジンを揃えても追加費用0円でなければ、束ね売りの価格前提が崩れる(no-external-data-egress、self-contained-php-app)。
単品製品との関係
各ハザードマップ(kurage-flood-hazard-map、kurage-landslide-hazard-map、kurage-tsunami-map、kurage-earthquake-map、kurage-disaster-risk-area-map、kurage-morido-map)は単品でも販売される。束ね品はそれらの上位互換ではなく、行動を出すための最小単位という位置づけで、単品は「その項目だけ調べたい」用途(調査記録、社内点検、コンテンツ)に残る。
他の領域への一般化
同じ構造は防災以外にも現れる。
- 合意形成 — 賛否の集計だけでは「どこで割れ、どこで一致しているか」は出ない。kconsensus は意見グループ・合意点・読み取り精度表示をまとめて1製品にしている。
- 陳情・制度案内 — 困りごとを制度で解決するか陳情に落とすかは、制度ナビと市会の所管判定の両方が要る(kurage-chinjo-navi)。
- 税・法務の対象判定 — ktoriteki は取引内容・資本金・従業員数の3軸が揃って初めて対象可否が出る。
いずれも「1つのデータでは答えを出せない」という同型の制約から、judgment-engine-bundle としてのパッケージングが導かれている。
販売チャネル上の意味
kurage-app-store は販売代理店向けのカタログであり、束ね品は提案時に「なぜ4本必要か」を説明できる形になっている(sales-partner-system、kappstore-ecosystem)。デモを触ってから判断できる点も、束ねの妥当性を顧客自身が確認する導線として機能する。
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